スピーチで原稿は用意すべき?良いスピーチのための話し方3つのポイント

スピーチ

原稿がない方が、自分らしくお話ができる?

以前私は、スピーチやプレゼンが必要になったとき、「原稿がない方が自分らしく話ができる」と思っていました。

なぜなら、原稿を用意するとそれを暗記して発表しないといけなくなり、暗記した原稿を思い出しながら話すと、棒読みに近くなるからです。

さらに、緊張してスピーチ中に原稿をド忘れしてしまい、テンパって話が止まってしまったりすることも懸念されます。

そうなるくらいだったら、最初から原稿を用意せずに何について話すかの順番だけ決めて挑んだ方が、話し言葉にも感情が乗って、より良いスピーチになると思っていました。

しかし、人前で話す経験を重ね、スピーチについて学ぶようになってから、それは「より良いスピーチをするための方法」ではなく、「努力を避けながら無難にその場を乗り切ろうとするための方法」なのだと思うようになりました。

良いスピーチをするためには、原稿作成・暗記・原稿の読み方・立ち居振る舞い、全てにおいて準備と練習が必要である

というのが、今の私の結論です。

そしてこの中でも、原稿作成・原稿の読み方が重要になってくると考えます。

何のための“スピーチ”なのか

そもそも、スピーチとは何のためにあるのでしょうか。

端的に言います。

スピーチは、自分の意志や思いを伝えるための場です。

自分の意志や思いが伝わらないスピーチは、スピーチをしなかったことと同じです。

緊張しながら人前に立って話して、結局やってもやらなくても変わらないのと同じだなんて

それこそなんのためのスピーチなんでしょうか。

どうせ話すのであれば、自分の気持ちが少しでも伝わって欲しいし

せめて、伝えようとする意志は汲み取って欲しいですよね。

そのためには、人前に立ってお喋りしただけではダメなんです。

大前提として意思を伝えるための計算された原稿があり、その文章を、言葉を、どう読むか、どこに間を作るのか

計算された読み方をする必要があります。

表現するために必要な”話し方”

今回は、原稿を読む際に意識で変えられる話し方の3つのポイントをお伝えします。

1,間の取り方

2,読むスピード

3,声のトーン

この3つを意識するだけで、原稿を棒読みするだけのスピーチよりも、原稿を用意せずにお話するだけのスピーチよりも

圧倒的に聞き手に伝わるスピーチになります。

間の取り方

まず間の取り方です。

間を置く部分は主に

1,句読点の部分

2,場面が切り替わる部分

3,大事なフレーズの前後

まず、句読点の部分です。

句読点のたびに一呼吸置くようにしてください。

これだけで大分印象が変わります。

また、緊張して早口になりがちな方には一呼吸置く時間にもなるので、句読点からまた再スタートだと思って話し始めてみてください。

よりスピードをコントロールできるようになるはずです。

次に、場面が切り替わる部分です。

例えば、一番最初の導入部分と、エピソードの切れ目の部分に長めの間を置くと、聞き手は「あ、切り替わるんだな」と、本能的に思います。

また、エピソードが終わってから最後のまとめの部分に入る前に長めの間を置いても、「これでエピソード終わり」ということが表現できます。

それ以外でも、エピソードの中で時間の経過を表現したい時に「数日後」などの言葉に合わせて間を置くと、より時間の経過を表現できます。

3つめ、大事なフレーズの前後です。

その時の自分の一番大事なメッセージが詰まっている一言の前後に間を入れてみましょう。

そうすることで、そのフレーズがより強調されるようになります。

読むスピード

スピーチをするときは、なるべくゆっくり読むことを意識してください。

自分がゆっくりだと感じるペースの中に、速く読む部分を作りましょう。

速く読む部分は、感情に訴えかける部分です。

聞き手を鼓舞したり、自分の感情が盛り上がった部分でスピードを上げると感情が高まっていることが聞き手にも伝わります。

その時の注意点は、言葉を難しくしないことと、長くしないことです。

難しい言葉や長い文章だと、速く読んだときに聞き手がついてこれない場合があります。

なのでなるべく単純な言葉を使うように意識してください。

声のトーン

意識するのが難しいですが、意外と大切なのが声のトーン、声の高さです。

声のトーンがずっと同じだと、何だか淡々とした棒読み感になってしまいます。

原稿がない方がうまく話せる気がする人の多くは、トーンのコントロールがうまくいっていない可能性が高いです。

なのでまずは、自分が話している時に声の高さがどれくらい変化しているか意識してみてください。

わかりやすいところだと、最後が疑問形なのかどうかによっても語尾の声の高さって変化してますよね?

それを意識の中でコントロールする必要があります。

また、スピーチ全体の中での話をすると、声のトーンを変えることでそのフレーズの重要性を伝えることができます。

重要なフレーズは低い声で話すと、重要性が高まります。

話を盛り上げたい時や、感情の高まりを表現したい時は高い声で話すと、その盛り上がりがより伝わりやすくなります。

難しい要素ではありますが、トーンのコントトールができるようになるとスピーチがグッと良くなるので、ぜひ意識してみてください。

スピーチの「原稿」とダンスの「振付」

スピーチにおける原稿って、ダンスでいう振り付けみたいな物だと思います。

変な話ですが、私はそれを友人のフラメンコの発表会を見に行った時に感じました。

友人のフラメンコの発表会では、5~8人くらいの人がステージの上で同じ振り付けで踊っていました

それを見ながら思ったんです。

「同じ振り付けなのに、こんなにも見え方が違うのは何故だろう」と。

もちろん、習い始めの人と長年習ってるんだろうなという人を比較すると、基礎的な部分での技術の違いは間違いなくあります。

しかし、私が特に気になったのはその差ではなく

見ていて心が踊る踊りと、何も感じない踊りで圧倒的に差があることでした。

その時に思ったんです。

同じ振り付けを、振り付けのまま踊る人と

自分がどう踊りたいか、この振り付けと音にどんな感情を乗せたいか決めて踊っている人で

見え方が全く違うんだろうなと思いました。

それはスピーチにしてみれば、「原稿」という既に決められた音の並びをどう読むかと同じです。

原稿を準備すると棒読みになってしまう人は、ダンスの振り付けをただなぞっている人と同じです。

しかし、その原稿に組み込まれている「言葉」や「フレーズ」にどんな想いを乗せて相手に届けたいかをしっかり考えれば

その部分を「ゆっくり読んだ方が良いのか」「速く読んだ方が良いのか」「低い声で読んだ方が良いのか」

様々な選択肢を組み合わせて、どう読むのかが決まるはずです。

そしてこれは、原稿を書き、覚えているからこそ、その音をどう表現するかの細部まで意識が及ぶのだと思います。

原稿がない方が自分らしく話せるという方もいると思いますが、それはあくまで「自分の話しやすさ」であり、「聞き手の聞きやすさ」「受け取りやすさ」とは異なります。

きちんと自分の伝えたいことが聞き手の心に響くスピーチをするためには、原稿作成は必須だと考えます。

その上で、その原稿をどう読むのか試行錯誤してみてください。

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